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第1148話
「え…?
優登が?
はい……はい、すぐに伺います」
中学校からの急な連絡に三条は母親を見た。
優登がどうしたのだろうか。
まさか、怪我とか。
最悪な事が一瞬頭を過るが、母親の顔はいつも通り。
命に関わる事ではなさそうだ。
「クラスの子と言い合いになって、相手の子が泣いてるみたい。
ちょっと行ってくるね」
綾登は自分は?と母親を見たが、頭を撫でられるだけに終わった。
どうやらすぐに帰れるような状況ではないらしい。
そもそも、優登が相手を泣かすまで言い返すとは思えない。
どちらかと言えば、兄弟以外にはドライな方だ。
“また”ではないかと嫌な事が頭を過った。
「送ろうか?」
「大丈夫。
綾登、置いていってごめんね」
「んーん。
一緒に遊んで待ってような」
「んっ」
眉を下げた母親はコートを着込むとマフラーを手に自宅を出た。
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