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第1154話

「ゆーとっ」 小さな身体でしっかりと脚に抱き付くと、ぎゅーっと口に出しながら抱き締めた。 「げんきなる、おまま……おままま?」 「ん?」 「みっちゃ、おまま?」 「おまじない」 「おまままない?」 「惜しい。 おまじない。 うーんと、魔法」 「まほ」 興奮して頬を赤くした綾登はぎゅーっと強くしがみついてきた。 ついでに足を踏んづけている。 こんな小さな弟まで心配させてしまい、胸の奥がぎゅっとした。 だけど、同時にこんなに優しく大きくなっていて嬉しい。 いつも兄にべったりの1番甘えたが、こんなに励ましてくれるなんて思わなかった。 「わっ、すっげぇ元気になってきた。 やべぇ!」 「ほんとっ!」 「ガチで」 「んー、ふふっ」 満足気に笑う弟から、本当に元気を分けてもらった。 本当に元気になってきた。 「ぼーろ、おいち?」 「うん。 すっげぇ元気でた。 今ならパンパンマンにも負けねぇ」 にっと笑うと綾登の両脇を掴む。 「うし、綾登暴れるなよ」 「あ! きゃぁぁっ」 そのまま抱き上げると炬燵に当たる兄の肩にのせた。 肩車に大興奮で兄の形の良い頭にしがみ付いている。 「髪の毛だけは毟らないでくれよ…」 「まだフサフサじゃん。 それに生えてくるって」 「そういう問題じゃねぇだろ…」 「えー、へへっ」 やっぱり家は最高だ。

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