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第1159話
足元を見て、誰かの足跡に気が付いた。
草を踏み締め真っ直ぐに続く道。
はっと顔を上げると、ずっと向こうに見慣れた頭があった。
太陽の光を浴びてキラキラと輝くその頭は憧れの人のもの。
視線をずらし、足元を見ると汚れている。
靴も裾も。
そうだ。
この人だって綺麗に鋪装された道ばかりを歩いてきた訳じゃない。
この草原の中を歩いて行ったんだ。
足踏みしていた足を、1歩出してみる。
1歩前へ。
またそれを繰り返す。
カサカサと草が揺れ、隣に小さな花が咲いていた。
先を歩く人達が溢した種だ。
とても気高く、美しく咲き誇る。
大きさなんて関係ない。
心が美しいというから、美しいんだ。
心に嘘は吐けない。
また1歩、また1歩と歩く。
憧れに向かって。
泥塗れになって。
俺の道を。
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