1159 / 1502

第1159話

足元を見て、誰かの足跡に気が付いた。 草を踏み締め真っ直ぐに続く道。 はっと顔を上げると、ずっと向こうに見慣れた頭があった。 太陽の光を浴びてキラキラと輝くその頭は憧れの人のもの。 視線をずらし、足元を見ると汚れている。 靴も裾も。 そうだ。 この人だって綺麗に鋪装された道ばかりを歩いてきた訳じゃない。 この草原の中を歩いて行ったんだ。 足踏みしていた足を、1歩出してみる。 1歩前へ。 またそれを繰り返す。 カサカサと草が揺れ、隣に小さな花が咲いていた。 先を歩く人達が溢した種だ。 とても気高く、美しく咲き誇る。 大きさなんて関係ない。 心が美しいというから、美しいんだ。 心に嘘は吐けない。 また1歩、また1歩と歩く。 憧れに向かって。 泥塗れになって。 俺の道を。

ともだちにシェアしよう!