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第1162話

「太田、三条の事いじめたらしいじゃん。 で、逆ギレして泣いたんだろ」 翌日、案の定学校では太田の事が噂になっていた。 噂というか殆どが事実だが、傍観者でしかなかった奴が当事者の様に騒ぎ立てる意味が分からない。 助けなかった癖に正義を振りかざすな。 それはただの自慰行為でしかない。 勝手に気持ち良くなるな。 それに、隣にいる一樹が申し訳なさそうにしているのが気掛かりだ。 「それ言ったら、太田と変わりねぇけど?」 「えー…、でも…」 「そんな事より、今日の英語当たるんじゃねぇの? 確認大丈夫?」 学校指定の鞄をおろし、中から取り出した英語のコートをひらひらと見せる。 今日の日付と同じ出席番号のクラスメイトは、すぐに興味がこちらへきた。 「あっ、そうだ。 三条、見せて」 「えー、どうしよっかなぁ」 「お願いっ」 庇ってくれた一樹が嫌な思いをしなければなんでも良いか。 今日は俺が守る番。 仕方ねぇな、と口だけの台詞を言ってノートを手渡した。 「先生来るまでな」 「ありがとー。 助かる」 「おー。 一樹、でさぁ」 太田は知らない。 自業自得だ。 興味がないからどうでも良い。 また泣きたかったら泣けば良い。 寄って集って、そんな事に付き合う奴がいればそれでも良い。 俺には、自分のは事の様に怒ってくれる友達がいる。 「な、一樹」 「うん?」

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