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第1163話
帰宅した優登は綾登と共に炬燵でぬくぬくとあたたまっていた。
「はぁ…、出たくねぇ」
「かーちゃむり」
「かたつむり、な」
絵本で読んだカタツムリは家を背負っていた。
だけど、胸まで埋まる次男の姿はよく似ている。
それは、綾登も同じだ。
ぬいぐるみを炬燵に埋めて自分も肩まで埋まっている。
「グーしてみ。
で、ここにのせると」
「あ!
かーちゃむり!」
「自分でする時は、ピースして。
2歳すんの。
それは3歳。
2はこう。
で、グーをここにくっ付けて…そう。
上手じゃん」
「へへぇ」
手遊びを教えて貰ってご機嫌だ。
長男が授業中なので、ご機嫌に越した事はない。
いくら2階の自室で授業を受けているとしてもグズった声は届く。
笑い声も届くには届くのだが、ギャン泣きよりは良いだろう。
「綾登、お茶飲むんだよ。
乾いちゃうからね」
「あぁーい」
母親の言葉に元気な返事が返ってくるが起き上がる気配はない。
そっと末っ子を覗くと、今度は隣に寝転ぶ次男から蜜柑を分けて貰っていた。
「ん」
「あーとます」
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