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第1168話

それに関しては確かにそう思う。 子供ばかり我慢させてるんだから…と思っているのは長岡も同じだ。 だが、その“子供”に三条も含まれている。 いくら成人してようと大切な生徒に変わりない。 まだ学生だ。 三条だって、この1年大学に通えていない。 我慢ばかりじゃないか。 「しんどくなる前に言ってくれ。 約束だ」 『…はい』 力なく笑う恋人を今すぐにでも抱き締めたい。 だが、万が一を考えたら出来ない。 感染経路を伝える時に、同性の元担任と抱き合ったと言わせるつもりか。 “なぜ”抱き合ったと勘繰られたら。 好奇の視線こそ気持ち悪いものだ。 そんな事はさせられない。 ぐ…っと手を握り締めた。 爪が食い込もうが、そんなの子供達の我慢に比べたらなんて事はない。 守る事が今せめて子供達にしてやれる事だ。 「絶対な」 『はい』 俺は、これが今出来る最善だと思い込んでいた。

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