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第1175話

「眠れてるか」 顎の下をすりすりと撫でながら問うと目を泳がせた。 「家にいてばっかじゃ寝れねぇよな。 身体が疲れてねぇもん」 「……」 「今日は眠くなるまで寝なくて良いから、なんか動画観ようぜ。 あ、腹筋しながらしりとりすっか?」 やべ、また萎んじまった… 折角ふくふくしてきた三条はぺちゃっと萎んできている。 ちょっと寝坊した夏休みの朝顔みたいだ。 頭を抱き寄せ、眠れない事が悪い事ではないと伝えるように髪を撫でた。 「それから、最後に抜いたのいつだ」 「え……」 「やらしい意味じゃねぇよ。 ちゃんと抜いてんのか」 「……処理は、……たまにしてます…」 「最後にしたのは」 「えっと……三が日…とか……」 三が日が明けてから何日経ってると思ってるんだ。 そんなの完全にストレスだ。 抜いてないのも重なって身体と精神がしんどさを感じているのだろう。 「明日、部屋来れるか」 三条の目が不安そうに揺らいだ。 どうせ、この期に及んでまだ感染が…とか心配をしているのだろう。 だが、もう引かない。 ここで引いてしまえばまた同じ事だ。 三条を護らせてくれ。 それを悟ったのかゆっくりと首が上下した。 「はい」 「こわいか?」 今度は左右に揺れた。 目は嘘を言っているようには見えない。 顔も強ばってはいない。 本当に大丈夫そうだ。 「よし。 決まり」 やや強引に約束を取り決めた。

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