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第1178話
部屋へと動こうとしない長岡を不思議に思いつつも、家主が歩かないので三条も動かない。
どうかしたのかと見上げると、一瞬だけあの目が見えた。
え……?
見間違いかと思う程一瞬のものだった。
だが、何度も見てきた目だ。
間違える筈なんてない。
手首を掴まれ、その力にハッとした。
「それと、腹の掃除すんだよ」
「は、ら……え…、あの…」
「ストレス発散にセックスなんて不健全だけど、手っ取り早いだろ。
良いか、毎日熱計って変だと思ったらすぐに医者に行け。
俺にレイプされたって言えば良い」
「そんなの駄目です」
「流石にキスはしねぇ。
でも、セックスはする」
有無を言わさず、肩からリュックをおろされた。
そしてマフラー、コートと続く。
流石に抵抗をするが筋肉量の多い長岡には勝てない。
それに、本気で抵抗をしたいのに何処かでは期待してしまっている。
触れられる。
触れられて嬉しい。
その気持ちは殺し切れない。
パーカーを脱がされると着衣に引っ掛りマスクが耳から外れた。
床に落ちてしまったそれを長岡は気にする事なく、下着へと手を伸ばしてきたので長岡が本気なんだと悟る。
慌てて口元を手で覆い隠すが長岡は本当に気にする様子もない。
そこまで心配をさせてしまっているのか。
本当に無意識だったのに、こんなに心配してくれているのが申し訳ない。
「付き合ってくれ」
絞り出される様な声に抵抗をやめた。
う、わ……
バサッと着衣を脱ぎ捨てる恋人の裸体にドキドキと胸が騒ぎだす。
これは、期待だと三条も気付いている。
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