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第1179話
半裸の長岡に温熱効果のある肌着を脱がされハッとした。
だが、時既に遅し。
長岡は肩口や腕に残る赤に手を止めた。
「なんだ、これ」
「あ……」
サーッと顔色が悪くなるのが自分でも解る。
咄嗟に隠したが、もう見られた後だ。
自傷に似た行為の痕跡をどう伝えれば良いのか一瞬考えてしまった。
正直に話せば良いのに、それが憚られる。
今、感じているのは罪悪感だ。
こうなるまで言わなかった事、1人で抱え込んだ事、頼らなかった事。
すべて恋人にされたら寂しい事だ。
それをして、その上こんなバレ方をしてしまった。
「遥登」
それなのに、長岡はただ抱き締めてくれた。
怒れば良いのに。
悲しめば良いのに。
それをしないのは、今の俺にとって逃げ道の1つになっているから、その逃げ道を塞がない様にだろう。
本当に優しい人だ。
優しさが今は痛い。
「正宗さん…、ごめんなさ」
「謝らなくて良い。
遥登は良い子だ。
ずっと良い子のままだよ。
それより風呂行くぞ。
寒いだろ」
言葉を遮られ、更にベルトを外された。
下着ごと落とされれば足元から冷えが全身を舐め回す。
ここまで脱がされるとシャワーの熱さが恋しくなるのは頭がそう覚えているからだ。
素早く裸にされると浴室へと背中を押された。
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