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第1180話

「……ぅ、」 腹が強制的に膨らむ感覚に、三条は短い声を漏らした。 それでも、止めてやれない。 この子を蝕むのは自分だけが良い。 そんな子供みたいな我が儘を、この細い身体にぶつけていく。 身体をこんなに痛め付けて、どれ程ストレスを感じていたのだろうか。 この身体で受け止めきれない程の大きさは一体どんなに苦しかっただろうか。 発散させる為に性行為をするなんて不健康だろう。 だけど、この不健康な気持ちを少しでも発散させてやれるならそれをする。 肩口の傷を見て、そう決めた。 「ト、イレ……」 「ぶっかけろよ」 あの目はじわっと水分量を多くし自分を真っ直ぐに捉える。 この目に映るのは自分だけが良い。 いっそ、監禁でもしてしまおうか。 自分だけを考え過ごせば良い。 自分の事で頭の中を満たしたい。 だけど、家族や友人達と笑う恋人も同じだけ愛おしい。 独り占めはもう少しお預けだ。 いつか、必ず。 「…い…かいめは、…おねがいしま、す」 「2回目なら良いのかよ。 じゃあ、俺の前でトイレ使うか、此処で吐き出すか選べ」 優しくしたいのに加虐心が三条を辱しめる。 暫く悩んでいた三条だが、次第に腸への刺激に耐えられず踞ってしまった。 「と、いれ……おねかいしま、」 ぎゅるる…と腸が限界を響かせる。 尊厳まで傷付けるつもりはない。 久し振りな事もあり1回目はトイレで排泄させようと腰を上げた。 「まさ、……ぅ゙、」 「1回目だけな」 三条はなんとかギリギリで歩けるだけ。 腕を掴んでトイレへと引っ張り込むと、出入り口を塞ぐように立った。 それも裸でだ。 冷えるが三条だけ裸なんて事はさせない。 寄せられた眉だけでも苦しいのが解る。 水分量を多くした目が媚びるように自分を見上げた。 「あ…、で、るから……」 「出せよ。 トイレを選んだのは遥登だろ」 緩く頭を降っても退いてやらない。 「……ぅ」 ぎゅるるる……と、更に腹が音を立てる。 腹を押さえる三条の首元で指輪が光を弾いた。 「すっきりしてぇだろ。 我慢すんなよ」 遥登は、俺の大切な家族だ。 ストレスの発散位手伝わせてくれ。

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