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第1184話
浮き出た背骨に添って唇を上げていく。
三条のにおいが消えるのが嫌でケツ以外は殆んどなにもしていないお陰か、清潔なにおいがする。
いつもなら汗を流したいと言う三条も今日はなにも言わなかった。
言えなかった、のだろう。
隠し事をしていたから。
そんなの、何かを隠していたからといって恋人じゃなくなる訳ではない。
言えない事くらいあって当然だ。
裏切られたとも思わない。
言えない秘密ごと愛してやる。
だけど、恋人は優しい子だ。
寂しい思いをさせてしまったと落ち込んでいるのだろう。
それごと吹き飛ばしてやる。
項に到着した長岡は、歯をたてたい欲求を抑え込み代わりに舐めた。
「ぅ、あ…ッ」
肩まで赤くなるのが可愛くて、つい笑みを溢してしまう。
「だって……いきなり…だったから……」
「感じてくれて嬉しいって意味だよ」
なにも言っていないのに弁解するさまが愛おしい。
三条はこういう子だ。
羞恥心が強くて、淫らで、心配になるほど良い子で。
「かわい」
肩にかかる布をずらして引っ掻き傷の上にもキスをする。
消毒をしたばかりだが少し口に入るくらいなら大丈夫だろう。
赤い色をなぞるように舐めた。
「…っ」
この傷ごと俺のものだ。
例え、まだ多くの事に我慢をしなくてはいけなくても大切な事を忘れたくない。
しっかりと頭に刷り込んでいく。
だが、目の前の恋人はそわそわと“ナニか”を待っているようにも思える。
シャワ浣から差ほど時間は経っていないが行為自体は久し振りだ。
焦らし過ぎな程の焦れているのだろう。
「焦れてる?」
「……そ、れは」
「かわい」
合図のように、ブランケットごしに頭にもキスをした。
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