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第1220話
炬燵にはいったらもう出たくない。
ティッシュを拾い終えた次男は肩まで炬燵に潜り込んだ。
「綾登、蜜柑食べたい」
「あっち」
小さな指は廊下を指差す。
長男とお絵描きしているのに邪魔をするなとばかりの"あっち"にあると指を指した。
「持ってきて欲しいです」
「くれう?」
「やるやる」
ちゃーちゃーなぁと言いながら廊下に行った。
しょうがないな、なんてどこで覚えたんだ。
「あーやと。
俺も手伝うよ。
手にのせてくれるか?」
「いーち、にーい、ちゃーん、ちー」
「沢山だな」
「ごー、おーく、なーな」
次男は楽しそうな2人の声に炬燵から抜け出るとブランケットを被ってドアの隙間から顔を出した。
「どうした?」
「俺だけ仲間外れかよ…」
「そんな事しねぇよ。
蜜柑取りに来ただけだろ」
ホルモンバランスの不安定さに兄強火担当が合わさり、むっとした顔をしている。
小さな手がまた1つ蜜柑を掴むと次男にはいっと手渡した。
「あっちで、たべよ」
「綾登が1番大人だな」
「綾登、ありがとう」
「どーたまたま」
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