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第1224話
真っ白な息を吐きながら商店街を抜けると、長身の影が神社へと入っていった。
自然と早くなる足取り。
その足音に気が付いたその人は立ち止まると振り返った。
「正宗さんっ」
「遥登。
こんばんは」
「こんばんは。
お待たせしなくて良かったです」
「待つのも楽しいけどな。
走ってくるか1人で賭けてる」
頭を撫でられふにゃふにゃの骨抜きにされてしまう。
チョークで荒れた長岡の手は、なんでこんなに気持ちが良いのだろう。
大きくて冷たくて、だけどとても優しい手。
一通り撫でて満足したのか手を下ろしたので、今度は俺の番。
担いできたリュックの中からプレゼントを取り出した。
「正宗さん、これクリスマスプレゼントです。
遅くなってしまいましたけど、受け取ってくれますか」
「勿論。
ありがとう。
でも、本当に俺に金を使わなくて良いんだからな。
誕生日とかクリスマスとか、遥登と過ごせるたけで本当に嬉しいんだぞ」
僅かな時間しか一緒に居られなかったのに、沢山のものを貰ってしまったのは三条の方だ。
内緒で会いに来てくれた長岡。
それだけで十分過ぎる程のプレゼントだったのに、マフラーと指輪をプレゼントしてくれた。
指輪は“そういう”意味のものを。
すごく、すごく素敵なものを貰った。
そのお返しは追々になってしまうが、せめてクリスマスプレゼントだけでも渡したかった。
それなのに、もう1月も終わってしまう。
「出掛けられなくて、ネットで頼んだのでサイズとか少し不安なんですけど…」
ぽふっと頭を撫でられ少し上を見上げれば不安を吹き飛ばす顔が自分を見ていた。
きゅっと上がった口端を更に上げて、開封を強請る。
「開けてみてください」
リボンの張り付けられた包装紙を丁寧に解き、中から出てきた箱をそっと開ける。
その1つひとつの動作が丁寧で、なんだか嬉しい。
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