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第1226話

丁寧にラッピングの戻された箱を持った手が、突然それを外した。 一体どうしたのだろうか。 これを聴こうとする前に答えが聴けた。 「やっぱ、片方ずつにしようぜ。 遥登が今使ってくれると明日以降使う時、間接的に遥登の手ぇ握ってる感じがして除雪も頑張れる」 「良いんですか。 でも…」 「こっちはポケット突っ込んどくし。 な?」 ほらほら、と手を取られて手袋を受け取った。 ちらりと見ると早くはやくとばかりの顔。 長岡は時々子供みたいだ。 真っ直ぐな目で悪戯をする子供みたいな顔をする。 決して学校では見せてくれないオフだけの顔。 その顔に弱い自覚はあるが、なにせこの綺麗な顔には勝てない。 「じゃあ、お言葉に甘えて。 お借りします」 「どうぞ」 指輪の輝く指を通し手首までしっかりと引き上げると軽くサイズやキツさを確認する。 ネットでは参考サイズとクチコミしか参考に出来ず不安だったが大丈夫そうだ。 グーパーとさせても窮屈さは感じない。 自分の貧相な指ではあまり参考にはならないかもしれないが、それでも長さ位は比較的似ている。 うん サイズも大丈夫そう 良かった 満足げな顔が自分を見てさっと手をとった。 「んじゃ、デートしようぜ」 「はいっ」

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