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第1231話
「おはようございます。
お手伝いさせてください」
「おはようございます。
長岡先生、早いですね。
助かります」
一足早く来ていた体育教師が玄関前の除雪をしていた。
それに対して、手伝わせてくれと申し出れば有り難いとばかりの顔が返ってくる。
体育教師は、朝から雪掻きをし、その後は体育の授業で生徒と同じく身体を動かすのだから少しでも体力を温存していて欲しいのもある。
「あ、あったかそうな手袋ですね。
もしかして、彼女からですか」
「えぇ…まぁ…」
「良いですね。
とても似合ってます」
目敏く見付けられ、仕事モードの長岡にしては珍しく言葉を濁す。
恋人─彼女ではなく彼氏─からのプレゼントは、気持ちが籠っていてとてもあたたかい。
きっと、遥登の気持ちがよりあたたかくしてくれるんだ。
「あ、でも、濡れませんか?」
「あー、上手にやります」
「ははっ、長岡さんは器用そうですからね。
じゃあ、生徒がもっと来る前にもう少し道を拡げちゃいましょう」
「はい」
今日はなんたか朝から気分が良い。
きっと理由は、このプレゼント。
単純だけど、それでも良い。
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