1235 / 1502

第1235話

盆を持ったまま部屋のドアを開け隙間から入り込んだ綾登がドアを両手で押さえてくれた。 ありがとうと入り込むも、重かったのか最後に尻を叩かれる。 それでも、助かった事にはかわりない。 ありがとうと声にすると、くふっと頬を膨らませた。 「普通の声で話して良いよ。 綾登、すごく静かに出来てすごかった」 「ほんと!」 「うん。 みっちゃんも起きなかったろ。 歩くの上手になったな」 「はう、ちゃべったね」 「あ、そうだった。 綾登は静かにも出来るしすごいな」 ぷくぷくの頬をむにむにと揉むと、とびきり嬉しそうな顔をした。 「ここおいで。 クッション、どうぞ」 「はうとのおへや、うれち」 「俺も綾登が遊びに来てくれて嬉しいな。 これ片付けるからちょっと待ってて」 卓上のパソコンや資料を勉強机に置いて、おやつを食べるスペースを空ける。 キョロキョロとあちこちを見る目に、そっとリュックを端に寄せた。 「ウェットティッシュで良いか。 手、拭いてからおやつな」 「あーい」 パック飲料にストローを刺し、ボーロの袋を開封する。 あとは自分で楽しむので自分のクッキーも袋を破いた。 「いたあきます」 参加の視線からだと旋毛が見える。 その奥の頬袋を膨らませて食べる顔は次男にそっくり。 可愛いなと頬の筋肉を緩めた。 「はうとは、なぁに」 「カントリーモームとコーヒーだよ」 「おいし?」 「美味しいよ。 でも、綾登のほっぺの方が美味しそうだな」 膨れた頬を潰して遊んでいると、階下から声がした。

ともだちにシェアしよう!