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第1274話
それから毎日少しだけオナニーを見せあった。
ほんの少しだけ。
身体が燻るだけの状態を続け、漸く金曜日。
火がずっとついている状態はなんだかもぞもぞとしてしまう心地悪さがあり、だけどそれが日に日に期待へと大きく変わっていった。
欲求不満、というのを実感している感が強い。
こんな気持ちを持て余す人妻ってのはこんな感じなのかと、変な事を考えてしまうほど。
「兄ちゃ…じゃなくて、遥登。
風呂どうぞー」
まだ名前呼びが慣れず、はにかむ次男に了承を伝えた。
「慣れねぇな」
「8年とかだから……なかなか。
でも、呼べんの嬉しい」
「ん。
俺も嬉しいよ。
沢山呼んでくれ」
頭から被ったタオルを掴みながら、なにかを噛み締めている。
様々な家庭環境があり、その数だけ“普通”や“当たり前”が違う。
両親のように異性を愛し合える家族、自分達のように同性を愛し合える家族、各々が“普通”で“当たり前”。
どれも変なんかじゃない。
それに、自分の事を“兄ちゃん”と呼べるのは優登と綾登─世界で2人だけだ。
だから、なんと呼ぼうと嬉しい。
忘れないで欲しいのは、そうやって自分を殺してしまう事はとても悲しいのだという事実。
そして、そのままの自分を愛してもらえるしあわせ。
それを優登も包まれ欲しい。
そう思うのは、兄のエゴ。
「風邪引くなよ」
「遥登もな」
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