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第1275話

軽く準備をしてから自宅を抜け出した。 真っ暗な外を、ぽつり、ぽつり、と外灯が照らす道を商店街へと向かって小走りで通る。 シャッター商店街。 ここまでくれば、神社はもう目の前。 シャッターの下りたパン屋や電気屋の隣を駆けて境内を覗くと、スマホを見る長身の人がいた。 「正宗さん」 「遥登。 こんばんは」 「こんばんは。 お待たせして、すみません」 いつものより些か早い時間からの逢瀬。 少しでも一緒にいられる時間が長くなるように急いだのだが、今日もまた長岡を待たせてしまった。 「今来たとこだよ」 「イケメンが言うやつですね」 「なんだそれ」 楽しそうな声に三条もつられて笑う。 毎日顔を見て話しているといっても、やっぱり画面越しより直接の方がうんと嬉しい。 今日がナニをする日だなんて忘れてふにゃふにゃと笑っていると 「んな、可愛い顔して笑って。 今日がナニする日か分かってんのか」 「え、と……えっちぃ、こと」 「そう。 えっちぃ……」 「つめた……」 冷たい風が空気を巻き上げると、屋根の上から細雪がパラパラと舞い落ちてきた。 それが外灯の光を反射しキラキラと魔法のような美しさを見せる。 それを背景にした長岡はとても綺麗だ。 「遥登、なんか良いにおいすんな」 「え……」 その風は、一緒に三条の纏うにおいまで巻き上げた。 距離が近付いたせいか、マスクをしていてもにおいが分かるらしい。 三条はすぐに顔を赤くしマフラーに埋めた。 「…………その、軽くシャワーを…」 期待しているみたいで恥ずかしいが、後からどうせバレる。 と、思ったのだが、口に出した今とてつもない羞恥心が襲ってきた。 「準備万端か。 なら、早く行くぞ」

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