1282 / 1502

第1282話

指が離れていき、ケツには無線ローターのコードがぴょこんと飛び出るだけ。 端から見たら間抜けだろうその格好を見せられるのは、ただ1人長岡だ。 その恋人はそっと鼓膜に低くて甘い声を吹き掛けてきた。 「なぁ、遥登。 俺のって書いても良いか?」 「書く…?」 鞄の中からマジックペンを取り出すとそれで太股をなぞった。 「…っ!」 「水性のだけど、嫌ならそう言え。 嫌な事はしたくねぇ」 「……され、たいです」 「良いのか?」 されたい 長岡の“もの”だって、所有物みたいに扱われたい こんな淫らな事をされたいなんて自分の中に欲があった事が驚きだ。 物みたいに扱われたいなんて思う自分がいる。 長岡は雄の目をしながら、太股をなぞるペンを股間へと滑らせた。 そして膨らみをグリグリと刺激し煽ってくる。 「…書いて、ください」 股にペン先が当たった。 なんだか不思議な感覚だ。 長岡は器用に立ったままペンを滑らせていった。 本当に、俺のって書いた 所有物って感じがする 「ありがとうございます」 「ありがとうって…」 「俺が書いてって言ったから…。 変な意味は」 喉の奥でくつくつと笑われてしまった。 でも、嬉しい。 いや、嬉しいという言葉で合っているのだろう。 嬉しいは嬉しいから良いか。 「良いな。 写真も撮らせてくれ」 「はい…。 あ、パンツは上げます……」 長岡は一瞬渋った顔をしたが、すぐに頷いてくれた。

ともだちにシェアしよう!