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第1316話
朝食の洗い物も終わり、教育テレビも一段落した。
「綾登、商店街にお野菜買いに行くけど、一緒にお散歩する?」
「んっ!」
にっこりと笑いながら首肯く小さな頭に、帽子と上着を持ってくるように言うと素直に持ってきた。
ついでに友達の黒猫も。
言葉を理解し、自分で考えて行動が出来るようになった三男の頭を撫でた。
春になったら保育園へと入園し、今のように長く一緒にいる時間も減ってしまう。
その代わり、多くの友達と仲良く元気に遊ぶのが楽しみだ。
集団生活のはじめの頃は風邪や熱をもらってきて大変だ。
このご時世なら尚更。
だけど、友達と仲良く遊ぶ楽しさは家庭では味わわせてあげられない。
どんな状況でも、しあわせだと感じる事の出来る子に育って欲しい。
そして、のびのびとすくすくと、ゆっくり大きくなって欲しい。
葛藤してでも最善を選んであげたいが、それがこの子の最善とは限らないから。
上着を着せていると階段を降りてくる足音が聞こえてきて、末っ子はすぐに反応する。
「はう!」
「コート着てどうした。
どっか出掛けるの?」
「露店市に散歩がてらね。
綾登のおやつの果物ないし、野菜も欲しいから」
「はう、は」
「俺?
んー、じゃあ行こうかな」
待っててと上着とマスクを取りに部屋に行った。
1人自室でオンライン授業を受けている長男は、ほぼ自宅のみで生活している。
青春真っ盛りのはずなのに。
「まふもふも」
「マフラーね」
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