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第1320話

お昼の番組では、便利グッズの紹介をクイズ形式でしている。 それを観ながら啜るうどん。 なんだかのんびりとした平坦な毎日だと思う。 だけど、苦しんでいないからそう思える。 今は、まだそんな小さな事の繰り返しだけで充分だ。 「くあ…」 「綾登、お昼寝しよっか」 「んーん。 はう、まだ」 急に眠そうな目をしはじめた綾登はゆっくりと瞬きをしている。 どう見ても眠たそうだ。 箸を一旦置き、小さな頭をくしゃくしゃと撫でた。 「俺は大丈夫だから、寝なよ。 起きたら優登帰ってくるし、俺も授業終わるから」 「んー…」 ぽてっとした顔のまま首を降るが、母親がおいでと言うと素直に抱き付いた。 そのまま背中を擦られすぐに夢の中。 「早ぇ」 「うどんおかわりしていっぱい食べてたから。 お腹いっぱいだと眠くなっちゃうよね」 はぐっとお握りに齧り付いて頬袋を膨らませる兄には、満腹なんて言葉は縁遠い。 その内、末っ子もそうなるのだろう。 両親どちらに似ても細身だ。 そして、よく食べる。

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