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第1326話

髪から滴を落としながら、ついた腕に顎を乗せ恋人を眺める。 ただ、好きだと思う。 それだけだ。 『なんか、すごく見てきますね…』 「うん? そうか?」 『はい…』 特に意識はしていなかったのだが、どうやら三条を見詰めていたらしい。 三条は照れたように視線を動かした。 ふぃ…と視線を動かす仕草の一つひとつ見逃したくないと思う。 「好きな子は見てぇだろ」 『すっ、……え…』 「好きな子。 首からぶら下げてんのなんだよ。 言ってみ」 『…指輪、です…』 「なんの指輪だよ」 『……婚約、指輪…』 「そ。 好きな子にしかやらねぇよ」 今度は、かぁっと頬を赤らめた恋人と目が合った。 “こういう”のが良い。 あの日の自分が想像をする事さえ出来ない毎日はとても眩しくあたたかい。 「あ、違うか。 “愛してる”子か」 三条の喉から面白い声が漏れ、浴室に響いた。 「なんつったんだよ」 『なんか、喉から…だって……』

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