寒いせいかふとんが心地良すぎて頭がぼーっとする。 だけど、長岡は起きていて着替えているのだからせめてベッドに座らなければとなんとか抜け出た。 『でっけぇ欠伸』 「あ、すみません」 『そういう意味で言ったんじゃねぇよ。 眠いのに待っててくれんの、申し訳ねぇ反面嬉しいなって』 「嬉しい、ですか…？」 『そう。 眠いのに、それ我慢して俺の事気にしてくれてんだろ。 愛されてるなぁって思う』 そんな小さな事から愛情を感じるのか。 なんだか照れる。 『その顔も好き』 「俺も、その……好きです」 『仕事頑張れる』 長岡はすっかり目が覚めている。 しかも、着替えの途中だ。 「あ、着替えの途中にすみません」 『ん？ んなの、気にすんなよ。 今は遥登が優先』 蕩けるような甘い言葉は、朝から刺激が強い。 口元をパーカーの袖で隠すと長岡は楽しそうに笑った。 『その顔だよ。 今日１日頑張れる』 なんて事のないように言うが、その言葉がどれ程嬉しいか。 自分が好きな人の力になれる。 そんな嬉しい事、さらっと言ってしまうんだ。 「……俺も、勉強頑張れます」 大好きなこの笑顔が見られるなら、会えない平日は我慢する。 だから、また今週も直接その笑顔に会えますように。