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第1332話
その言葉通り、1週間しっかりと勉強をした。
レポートも手伝ってもらい80%は出来上がった。
そんな軽い気持ちで歩く深夜の道は気分が良い。
「遥登」
「あ、正宗さん!」
よ、と手を上げるのは恋人。
神社の前で立ち止まり待ってくれているので、雪で滑らないように気を付けながらも駆け出した。
早く隣に並びたい。
隣にいたい。
タッタッと駆ける脚はとまらない。
漸くにおいが分かる距離まで近付くと、息を整える事より先に挨拶をした。
「こんばんはっ」
「こんばんは。
走ると危ねぇだろ。
俺は待ってるから、気を付けろ」
「でも、少しでも早く隣に来たかったんです」
「そういうとこだぞ」
サッと指を絡めとられ、隣に長岡が並んだ。
たったそれだけの事なのに、とてもしあわせになる。
ふにゃっと頬を緩ませたままいれば、隣から指が伸びてきた。
その指がマスクの隙間の肉をつつく。
「会えて嬉しい?」
「はいっ」
「俺も。
今週のストレスが消えてく」
「大袈裟ですよ」
「大袈裟じゃねぇよ。
そういう顔してんだろ」
恥ずかしいけれど、頷いた。
頭をぽんっと撫でられ胸がいっぱいになる。
会えただけでこれだ。
単純で良かった。
「ほら、デートすんぞ」
嬉しそうな横顔に頷いた三条は、一緒に暗闇えと消えていく。
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