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第1335話

簡単にラッピングをした焼き菓子と市販のチョコレートが入った紙袋を雪で濡らしてしまわないように更にリュックへと詰め込んだ。 まさかジップロックに入れて渡すのは出来なかった。 飛ばさない、ラッピングなんて言うが、そんな大層なものではなく個包装にして同封のシールで止めただけ。 それでも、“特別”なのは伝わるだろう。 これで準備は終わり 忘れ物はないよな あとは、正宗さんから連絡きたら行ける 長岡は部屋を出て此方へと向かっている途中だ。 時間をみて家を抜け出すのだが、今日はなんだかソワソワしてしまう。 味見はしたし、大丈夫だと思うけど緊張するな… 膝を抱えて、じっとリュックを見詰める。 暫くぼーっと見ていると、もうすぐ到着すると連絡がきた。 時間的にも本当に近くまで来ているのだと分かるので、上着とリュックを持ち静かに部屋を抜け出した。 長岡は雨が降っている日や特別寒い日、暑い日に此方へと来てから連絡をしてくる。 待たせないようにと思ってくれるのは嬉しいのだが、それでは長岡が待ってしまう。 どちらかだけが負担をするなんていやなのに、長岡は甘やかすばかり。 なので、長岡の部屋からこの辺りに到着するまでの時間を覚え、その時刻に部屋を出るようにしていた。 途中、浴室に寄り部屋着とタオルを置く。 帰宅後すぐに入浴出来るようにだ。 そして、そのまま裏口から抜け出た。 日中より更に寒さが増した外はとても静かだ。 真っ白な雪が音を吸収し、消雪パイプの水が流れる音がしているのに静かだと思うほど。 そんな道路を神社に向かって真っ直ぐ進む。 商店街に入っても頭に乗せた雪もそのままで。 「正宗さん!」 「遥登。 こんばんは」 「こんばんは」 雪が積らないように境内の軒先に長岡はいた。 駆ける三条に、長岡は傘を開き近付いて来る。 だが、三条も小走りですすんでいるので、中途半端な場所で合流をした。 「頭に雪積もってんぞ」 「傘をさす程ではないかと思ったので…」 「風邪ひくなよ」 相合い傘にはにかむ三条の頭から雪を落とす長岡から良いにおいがした。

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