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第1337話

相合傘での短いデートも終わり、車内に到着するなり長岡はタオルを押し当ててきた。 ふわふわのタオルから長岡のいい匂いがする。 「タオル使え。 風邪ひくなよ」 「俺は大丈夫ですから、正宗さんが使ってください。 肩が濡れてます」 「遥登のにおい付いたタオルが良いんだよ。 ほら、におい付けろ」 積もった雪が溶け濡れた頭をタオルで拭かれた。 大型犬のタオルドライみたいにわしゃわしゃと。 だけど、嫌じゃない。 寧ろ嬉しい。 小さな事かもしれないが、こういう触れあいが出来る事がしあわせだ。 ずっと会えずにいたあの時間はとても寂しかった。 今の方が生きていると強く思う。 ちらりと見上げた先で長岡は楽しそうに目を細めていた。 「ん?」 「良いにおいがします」 「その洗剤のにおい好きだよな」 「正宗さんのにおいですよ。 ベットとか、このにおいでした」 「ベットって…やぁらし」 クスクス笑いながら、今度は襟足も拭かれた。 もうここまできたらされるがままだ。 「ちょっと良いか」 ある程度拭き終わると、長岡はいきなり服を捲り上げてきた。 ヒートテックごと服を撒くられ腹がヒヤッとする。 いくら暖房がついた車内でも体温には冷たい。 「触んぞ」 そこを冷たい手が撫でる。 サワサワと触れる度に身体が跳ねてしまう。 「……っ、」 だが、それが性的な事や、恋人同士の触れ合いではないと悟った。 触り方はまるでナニかを確認するかのよう。 そして、背中側が主だ。 「次、腕な」 「え…」 蕁麻疹の確認だ。 感染症や大人への不満でストレスが身体に出ていた。 長岡は、今もそれを心配している。 「大分良くなったな」 長岡とセックスしてから蕁麻疹は少しずつ改善されていった。 まだ完璧とは言えないが、ニュースさえ見なければ痒みもない。 「肩は?」 「意識して引っ掻かないようにしてます。 たまにしちゃってるみたいですけど…」 「偉いな。 意識してんだろ。 それで充分だ」 あぁ、やっぱり長岡は優しい人だ。

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