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第1385話
「なぁ、まだ眠くねぇ?」
『え?
そうですね、弟と夕食後に少し寝てしまったので…』
「ならゲームしねぇか。
この間のコース、またやりてぇなって思ってたんだよ」
その言葉に三条はすぐに頷いた。
『はいっ。
したいです!』
「じゃあ、やろうぜ」
いそいそと準備をはじめる恋人に頬が緩む。
まったく、良いタイミングでゲーム機が買えたものだ。
あの日の自分を褒めてやりたい。
『嬉しいです』
屈託なく笑う顔は年相応だ。
田上や吉田といる時のような顔を見たいと思っていた。
どうしも、友人といる時の顔は見る機会が少ない。
高校生の時は、それこそ言葉通り平日は毎日見ていた顔だ。
それが、高校を卒業し見る機会はめっきり減ってしまった。
加えて今の感染症。
大学もオンラインばかりで文化祭等で大学自体に行く機会すらなくなってしまった。
久し振りに見る顔は、恋人と同じように大人っぽくなっている。
「負けねぇからな」
『冬休みに弟と遊びまくったので俺の方が有利ですよ』
「んじゃ、負けたら明日のデートの時に飲み物奢ってもらお」
『へへっ。
楽しそうです』
早速電源を入れる起動させる手を止めた。
『俺、正宗さんとゲームするのも大好きなんです。
ゲームしてるとなんか歳とか関係なくなるじゃないですか。
友達の感覚と言いますか……なんて言ったらきちんと伝わるか分からないんですけど、でも好きって気持ちは本当です』
朗らかな表情は嘘がなく真っ直ぐ。
俺こそ、そんな三条が大好きだ。
どこまでも真っ直ぐでブレなくて、そして愛おしい。
そう言えば、三条は照れた。
『恥ずかしいです…』
「ははっ、動揺してんのかよ。
ゲーム負けんぞ」
『負けても良いです……』
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