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第1387話

他愛もない話をし、時々口元へとお菓子が運ばれてくる。 律儀に信号待ちのタイミングなのが、なんとも三条らしい。 それを2人で食べながら目的地のないドライブは続く。 「これ美味いな」 「お口に合って良かったです。 最近よく食べてるんです。 おすすめで、正宗さんにも食べて欲しかったんです」 「もう一口貰っても良いか?」 「はいっ」 顎マスクをした長岡にお菓子を差し出す三条の顔はすっかりダラけていた。 この顔が見たくて2人っきりになれるドライに誘ったのだ。 何にも気を使わないで、部屋で見せてくれていたあの顔が見たい。 そんな我が儘は2人きりの小さな空間で叶っている。 「どうぞ」 「ん、ありがと」 すると、齧ったお菓子を残りをじっと見詰めている。 「間接キスはまだだぁめ」 「っ!」 そんなつもりはほぼほぼなかったが、意外にも焦った顔を見せるので驚いた。 本当に間接キスがしたかったらしい。 クッソ可愛い。 「そ、そんな…事…しようだなんて……」 「冗談だよ」 失敗したなと思うのは、運転をしていてはマジマジと恋人の顔を見られない事だ。 河川敷にでも停車させお菓子を食べるのも良いのだが、今ので三条が緊張してしまった。 此方もタイミングを見誤ったみたいだ。 実に惜しいことをした。

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