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第1391話

地元の土手とは違い、遊ぶ事の出来る土手。 芝生敷きのキャンプ地やスケートボードの練習場。 野球にバスケットボールの練習も出来て羨ましい。 だけど、桜が咲き誇るのは地元だ。 それだけは地元の方が誇れる。 そんな緑地─雪で緑はかくれているが─脇の駐車場に、恋人の愛車は停車した。 「我慢出来なくなるっつったろ」 「俺だって触りたいです…。 我慢してるのは同じです」 触れたい。 好きな人に触りたい。 それは、ごく当たり前の感情だ。 だって、触れられるのは恋人の特権だろ。 暗がりを良い事に、シートベルトを外すとこちらへと手を伸ばしてきた。 「っ!?!?」 だけど、その手は自身を抱き締めたりはしない。 マスクの上から顎を掴んできた。 まるでキスをする時のようで、ドキッと心臓が跳ねた。 心拍数が上がっていくのも分かる。 「ま…正宗さ…っ」 首が傾けられ、髪がサラサラと溢れた。 グッと色気の増した恋人の顔が近付いてくる。 や、ばい…… 顔が良い…… それでも目を逸らせない。 いや、逸らしたくないんだ。 端正な顔が拳1つ分まで近付くと、綺麗な目が細められる。 「仕返し」 「っ!」 悪戯が成功した子供みたいに無邪気で、更に艶やかささえあるその顔の色っぽいこと。 口から心臓が出るかと思った。 「…あ…今のは狡いです…。 すごくドキドキして……えっちぃ……」 「気に入った?」 「そういう話では……」 「じゃあ、もうしねぇぞ」 「……してください」 いつもより素直に頷くと、頭をよしよしと撫でられた。 まるで子供みたいだ。 だけど、嬉しいのも本当。

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