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第1398話

両親と末っ子が出掛けてどれ程の時間が経っただろうか。 口の乾きを覚えパソコンから顔を上げると、同じくなにか口に入れたそうな顔をした次男と目があった。 「腹減った…」 「もう昼か。 なんか食うか。 なに食べたい?」 「ナポリタン!」 「じゃ、俺作る」 長岡は休日だというのに仕事で学校に行っているのでその間は勉強をし、夕方から2人でゲームをする約束だ。 それまでは、しっかり勉強をする。 なにせ目標は大きい。 それに、そろそろ学童のボランティアも再開出来そうらしい。 先日吉田が嬉々として教えてくれた。 それなら、今はしっかりと頭に知識を詰め込むには最適なタイミングだ。 冷蔵庫を漁り、ナポリタンの具材を見繕う。 使いかけの玉ねぎとピーマン。 ウインナーはなかったので代わりにハムを取り出した。 乾麺は3束……足りなそうだが炊飯ジャーにはご飯が炊かれているので大丈夫だ。 まずはお湯を沸かし、野菜を切る。 そして、野菜を炒めクタってきたところでハムとケチャップも炒めた。 それから砂糖と牛乳、コンソメを少し。 母親がそうして作るので口に合う。 なければないないで美味しいし、ニンニクを入れればそれもまた美味しい。 それが家庭料理の良いところだろう。 どう作っても美味しい。 学校で習う勉強のように正解不正解がない。 だからこそ、勉強の合間にするにはもってこいだ。 いつの間にかボコボコと沸騰していたお湯でパスタを茹で、茹で汁少しとスパゲティを入れフライパンを煽った。 若干重いが三条も筋肉はある。 美味しい食事の為なら多生のしんどさは平気だ。 パスタを作る時に、茹で汁を加える理由は、それ自体に塩味が付いているからと乳化せる為。 乳化とはなにか。 それは科学の話だ。 勉強はしなくたって困りはしない。 だが、知識があった方が楽しい事もある。 料理が美味しくなる事もある。 そういう小さな事が三条の好奇心を動かす。 ジューっとケチャップの焼ける良いにおいが部屋いっぱいに広がり、優登はいそいそと飲み物の準備をはじめた。 冷蔵庫から麦茶のポットを運び、フォークも机に並べた。 「はー、やば。 すげぇ良いにおいする」

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