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第1400話

口の回りを真っ赤にした綾登はそこを拭われ嫌々と頭を降った。 「んーんーっ」 「お口真っ赤で写真撮ったらばぁばビックリしちゃうよ」 「おいしの」 コンビニの揚げた鶏肉を食べた後の唇は確かに美味い。 脂でテカテカしているのを除けば最高だ。 それを、この歳で理解しているのか。 確実に食べるのが好きな兄弟に似ている。 「まだ撮らないの?」 「する」 「じゃあ、お口綺麗にしよ」 母と弟の賑やかな様子を見て、ふと父親を見るととても楽しそうな顔をしている事に気が付いた。 何年経っても変わらない父。 母を溺愛していて、子供の目からみても大切にしているのが分かる。 そんな父を見ていると長岡が恋しくなってくる。 長岡の目。 優しく細められた目もそうだが、普段何気なく一緒にいる時の目が好きだ。 学校で見るのとは違う笑顔が好きだ。 チョークで荒れた手も、ケツが汚れたスーツも。 正宗さん、早く帰ってこないかな 服の上から指輪に触れた。 触れる事の出来る愛のカタチ。 家族のしるし。 「綾登、俺とも撮ろう」 「んっ! いーよー!」

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