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第1412話

バックルの金属音。 チャックの下りる鈍い音。 上半身は既に裸なので、これを落としてしまえば本当に身体を隠すものがなくなる。 1度視線を長岡へと移すと、余裕綽々そうな顔をしている。 あのペットボトルの中では陰茎をガチガチに勃起させているのに。 そんな、他の人がしてら間抜けそうな姿さえ格好良いんだ。 神様だって、きっと顔が良い人の方が好きだろう。 この顔なら好かれる筈だ。 「あ、パンツはそのまま。 脱げたらそこら辺にある俺の服着て戻ってこい。 クローゼット漁っても良いから」 「正宗さんの服、ですか…?」 頷かれ、ベットを伺うと寝る時に着ていたであろう見慣れたスウェットが放られていた。 長岡のにおいの染み付いたそれから目が離せなくなる。 「あれが良いのか。 着て良いぞ」 「はい」 ボトムスを落とし脚から引き抜くと、フラフラと足が進んでいった。 脱いだ着衣を畳まなければ、なんて考えられない。 あの良いにおいが恋しい。 起き抜けのベッドに潜り込みたい気持ちをグッと、ググっと抑えてまた恋人を伺う。 「はぁる」 「お、借りします…」 体温はすっかりなくなったが、それでも嬉しい。 腕を通し、頭を入れる。 とても良いにおいだ。 繊維の奥に洗濯洗剤を感じるほど。 一生このにおいに包まれていたいが、なにせ今の格好はとても間抜けだ。 パンツのみを身に付け服を被っている。 部屋だから許されるがこんなのただの変態だ。 すぐに頭を出した。 「良い子だ。 おいで」 手招かれるままに隣へと腰を下ろしたまでは良かった。 有無を言わさず脚の間に自身の足を割り入れてくる。 「腰振ってやらしいとこ見せてくれよ」 「え……」 「疑似オナニー。 セックスか? AVより遥登の方がえろくて抜ける」 「だって、……おっきくなると…って……言ったのに……」 目の前の男の声は絶対だ。 口がなんと言おうと身体は従う。 淫らな自分。 はしたない本能。 「……っ!」 股の間の足、その指が下着ごしに玉に軽く触れた。 いや、当たったと言われればそうだと思う位に本当に軽くだ。 だけど、長岡の顔を見たらそれが故意だと分かる。 そういう顔をしているから。

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