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第1432話
階段を降りていると、手に待ったスマホが震えた。
ロック画面には今し方分かれたばかりの長岡の名前と、動画が送られてきたと表示されている。
どうしたんだろ
忘れ物……なら持ってきてくれそうだし…
タップしようとすると、続け様にメッセージを受け取った。
それは、やるよ、と簡潔な文字。
なんだろ
アプリ画面にして驚いた。
届いたのは、先程の淫らな行為を収めた動画。
ハメてはいないがハメ撮りだ。
「っ!?」
いつ、撮影なんて……っ
そう言えば、スマホ持ってた…
途中から机の上のマグに立て掛けたのか
気付かなかった……
マスクとキャップで顔の大部分を隠していても耳は隠しきれない。
このままでは熱があるのではと疑われてしまう。
だけど、正直……正直な話、長岡の菅田も写っていて自慰の時に使いたい。
三条も性欲盛んな大学生男子。
すごく気になる。
イヤホンはリュックの中に入っているが、ここで視聴するのは避けたい。
今降りてきた階段を戻り、もう一度呼び鈴を押した。
直ぐ様開けられたドアから綺麗な顔が覗く。
手の中のいやらしさは微塵もない。
「どうした?
忘れ物か?」
「動画……」
「あぁ。
観てから帰るか?
エロいぞ」
ニッと右口端が上がる恋人に確信犯を知った。
だけど、それでも頷くんだ。
狡い人。
そして、その人に甘える狡い自分。
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