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第1434話
ソファの上で胡座をかいていると、足元の小さな頭が動いた。
「はーう」
「ん?
どうした」
「みあん」
小さな手から蜜柑を渡され皮を剥く。
まだ指を突き刺すだけの力はないらしい。
皮を剥き半分に分けてから、どうぞと手渡せば、ありあと!と元気な声が返ってくる。
春休み満喫中の三条は、1日の殆どを末の弟と過ごしていた。
この時間が大切で仕方がないとばかりの顔に末っ子もご機嫌だ。
強火担の次男ももうすぐ春休み。
3人でわちゃわちゃとするまでは末っ子が兄を一人占めだ。
「どういたしまして。
どうした。
ソファに座るのか?」
「こーこ」
上半身を乗せて、足を上げようと踠くケツを支えた。
たかだか数十センチの高さだが、頭を売ってしまえば万が一がある。
足を崩しそっと腕に力を入れて持ち上げた。
「あのね、こえ、ぷんぷんこ」
「良いのか?」
こくっと頷く弟。
優しくて可愛くて、お利口だ。
兄馬鹿を発揮して小さな頭をくしゃくしゃと撫でる。
綾登は、満足そうに、ふへへっと笑いながら半分に割られた蜜柑の片方を分けてくれた。
一緒におやつを食べたら次男を迎えに行こうとばかりの顔だが、この可愛い顔には勝てない。
あと1時間ほどの2人の時間を楽しむ事にする。
「いただきます」
「まーちゅ」
パクッと口に放り込んだ蜜柑はとても甘かった。
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