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第1450話

「兄ちゃんがクラス担任になるのと終息するのと、どっちが早いかな」 「どっちだろうな」 「へへっ。 でも、ありがとう」 コンビニ前で優登は嬉しそうに笑った。 例え、それをマスクが隠していたって解る。 兄だぞ。 「俺の方こそ、ありがとう。 クラス担任受け持つより先に行こうな」 「うんっ!」 「どこが良いかな。 やっぱウニバ行きたいよな」 「さいっこう!」 テレビの中で国民の為に動いてくれている人がいるのを知っている。 けれど、隣の笑顔は自分が守る。 大切な弟だ。 俺が、守りたい。 「あれだろ。 新任でクラス担任受け持てんの、頭良い人なんだって」 「プレッシャーすげぇ……」 「噂だよ。 でも、教育大でてないと教頭になれないとかも言うだろ」 「教頭にはならないよ。 ずっと、古典といたい」 恩師のように。 大きな目標は、いまだ大きくて足踏みばかりしている自分が不甲斐なく思えてしまう。 だけど、その背中に追い付くから。 絶対に。 同じ景色をみて、ずっと古典と共に生きたい。 今の素直な気持ちだ。 高校の時の漠然とした目標は、しっかりとしたものへと変化した。 「ふぅん。 欲ねぇな。 でも、応援してる」 「ありがとう。 優登が応援してくれるんなら百人力だ」 グーを差し出すと、ゴチッと同じものがぶつけられた。 大丈夫。 理屈なんかじゃなくて、心がそう言う。 「あ、郵便出すからちょっと待ってて」 「うん」 郵便物をポストへ投函すると、またコンビニへと散歩を続けた。

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