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第1453話

途中の自動販売機であたたかい飲み物を購入した。 それで手をあたためながら短いデートを楽しむ。 何度そうしても、やっぱり胸を満たすのはしあわせだ。 飽きる事なんかない。 慣れる事なんてない。 ずっとドキドキしている。 口端を留守ゆるゆるにして隣を歩く。 感染症さえなければ当たり前の日々が、当たり前に続いていた。 けれど、こうして小指を繋いで外でデートはしなかっただろう。 1年経って、やっとそう思えるようになってきた。 すべては長岡がつくってくれた結果だ。 本当に、いつでも守ってくれるヒーローみたいな人。 大好きな人。 「早くあのディルド使わせててぇなって思って、まだ片付けてねぇの。 早く遥登こねぇかなぁ」 「片付けてください…。 でも、お借りした本、半分は読み終わったので……その、交換に行きたいなって…思ってます…」 「ははっ。 交換に、な。 良いよ。 遥登の都合の良い時に来い。 待ってる」 寒くねぇか?と優しく声をかけてくれた声のままそんな事を言う。 こんな良い声の無駄遣いみたいな……それさえ様になっているから羨ましい。 「俺も、この前言ってたの持っていきますね。 あ、服も」 「ん。 ありがとな」 ゆらゆら揺れる小指に表情を緩ませる。 すべてが結果論であっても、隣に恋人がいてくれる事実だけで十分だ。 家族も友達もいる。 今は、そう思う。

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