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第1455話

「……るせ」 ピピピ……と鳴り続ける音に、長岡は不機嫌そうな顔をした。 自身のスマホを手に取りアラームを止める。 さむ… マジで寝てた… 遥登は もぞ……とブランケットの山が動き目が見えた。 眠そうに数度瞬きをする。 その動き1つひとつが久し振りに直接見るものだ。 なんとなく胸の辺りがきゅっとした。 これが加護欲と言うものか。 「おき、ました……」 夜のせいか、マジ寝をしてしまった。 このまま目を閉じていたい。 あわよくば、風呂も済ませ服も着替えここがベッドであって欲しい。 子供体温を傍らに朝まで眠りたいが、しっかりと目を覚まさなければ。 「はよ。 よく寝れたみたいだな」 目を擦ろうとする手を掴んで止めると、綺麗な目玉を覗き込む。 「あんま擦んな。 まだ眠いか?」 「大丈夫です。 起きれます」 「悪いな。 夜に仮眠なんて」 「一緒に寝れて嬉しかったです」 はにかむ姿にまた胸がきゅっとした。 本当にのびのびしていて良い子で最高の恋人だ。 「俺も、嬉しいよ」 ブランケットの上から細い身体を抱き締めた。 あとどれだけの時間が過ぎれば、もっと会えるようになるのか分からないがそれまでしっかり守らせてくれ。 守るから。 世界中の誰よりも。 ご両親よりな。 そんな思いを言葉にする事なく長岡はあと僅かな会瀬を惜しむように三条に触れた。

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