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第1456話

自宅近くの曲がり角。 いつもここに来ると帰りたくないと足が言う事を効かなくなる。 「来週はこれそうなんだろ」 「はい…」 「なら、悄気んな。 帰したくなくなる」 頷くが、頷くだけだ。 今日は、デートというより寝ていた時間の方が長かったので名残惜しい。 勿論、一緒に眠れて嬉しかった。 手だって繋いで寝たんだ。 それに対して不満はない。 ただ、意識がない内に時間が過ぎていったのが勿体ないというか。 我が儘になるのはいけないのに我が儘になってしまい、これだ。 こんなの女々しい。 ウザいと思われてしまう。 マスクの中で下唇を噛んだ。 「遥登。 こっち向いてみ」 長岡の腹の辺りを見ていた視線を上げると、すぐにゴチッと額がぶつかった。 顔が近くて、マスク越しでも良いにおいがするのが分かる。 あ…… 空気だけで笑ったのが分かった。 長岡が笑う時の空気だ。 「来週はやぁらしい事しような」 「……!」 「期待して待ってろ」 「あ………、はい」 最後にグリグリと頭をぶつけられ、まるで猫のよう。 自由で気高くて、気に入らない人には決して媚びない愛くるしい猫。 恋人は、その動物に欲良く似ている。 「腹の掃除は俺がする。 とんなよ」 「え、でも……」 「だぁめ」 「…だって…」 「大学2回生の遥登と最後のやらしい事なんだから、思い出に残るようなのしような」

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