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第1457話
階段を登りきり呼び鈴を押すと、インターホンがとられる事なく玄関ドアが開いた。
中から表れるのは、大好きな人。
何度経験しても嬉しい瞬間だ。
「よ」
「こんにちは」
「こんにちは。
ほら、入りな」
半身を引いて、入室を促してくれるのでそれに甘える。
春先といってもまだまだ冷える。
靴を脱ぎ、その足でいつものようにリビングへと案内する背中に付いていく。
そこにある炊事場で手洗いうがいをするのがいつもの流れ。
だから、机の上に置かれた“ソレ”に驚いた。
「っ!!」
「気に入った?」
なにを、言っているのだろう。
“アレ”の事か。
だって、“アレ”だぞ。
ローテーブルの上には吸盤で張り付けられたリアルなディルドが天を向いている。
血管や玉の皺までもがリアルでゾワ…っとした。
前回見た─手に触れた─時より生々しく見てるのは何故だ。
アレは自身にもあるものだ。
女の子のように見慣れず恥ずかしいという意味ではない。
ここは長岡の部屋で。
隣には長岡が居て。
だけど、目の前の“ソレ”は長岡のものではない。
「アレで遊ぶの楽しそうだろ」
「た、の……し…………」
「アレ銜えんだよ」
ボトムスの上から臀列をなぞられ、先日のお誘いが本当だった事を理解した。
「あ、れ……を……」
「そ。
言ったろ。
準備も一緒にしようなって」
「ほんと、だったんですか…?」
「ん。
本気。
遥登が嫌ならしねぇけどな」
ドッドッと早鐘を打つ胸が口から出そうなほど緊張しはじめた。
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