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第1472話
「イ゛…き……」
汚い声でそう言った時だった。
長岡が腰をグッとくっ付けたまま動きを止める。
「……?」
壁についた手に力を入れて、なんとか振り返るとニィっと口角を上げた恋人と目が合った。
急に止められたせいで腰が揺れるのを止められない。
なのに、長岡の手がグッと腰を掴むので満足に出来ず駄々を捏ねそうだ。
性に貪欲なところは何度見られたとしても恥ずかしい。
「あ……な、……で…」
「立てるか」
「ひ……ッ、漏れる…」
「ほら」
駄目だと頭を振っても許してなんて貰えない。
なんとか脚に力を入れて、長岡からも手伝って貰い抜けないようにしながら腰を上げる。
はしたなく脚を開いたままなんとか立ち上がれたが、今度は立ち上がった事では重力を強く感じてしまう。
しかも、長岡はボトムスをずらしただけだと今更ながらに思い出した。
それなのに、長岡は動き出した。
ピストンや奥を刺激するものではなく、言葉通り歩こうとする。
「まってくださ……どこ…っ」
「トイレだよ。
行きたかったんだろ。
そんかわり、気ぃ抜いたからソコで漏らす事になんだからな。
気ぃ抜くなよ」
サディスティックな響きにクラクラする。
トイレに行ける。
行けるのは素直に嬉しい。
嬉しいが、長岡のモノを嵌めたまま歩かされるんだ。
隣と言っても脱衣場を通らなくてはならない。
ボスマットや脱ぎ散らかした服、洗濯籠、物の少ない人ではあるが、汚してはいけないものが確かにある。
「う、…」
「そーそー。
しっかり締めるからなんか絡み付いてくるな」
「っ!!」
脱衣場までやっとの思いで来られたのに、後ろから楽しそうな声が聴こえてくる。
サディストだ。
嗜虐者だ。
1歩、1歩、ヨタヨタと歩き出したばかりの子供のように覚束ない足取りで進んでいく。
漸くトイレのドアに触れれたが、気なんて抜けない。
まだ、漏らしていないだけでヤバい現状にはかわりないのだから。
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