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第1498話
前回の時も、脚を持ち上げられ犬の排泄時のような体制をとらせられた。
長岡の好きな体位なのだろうか。
「正宗さ、」
「あと少しだからな」
中に入り込んでくるシャワーの湯の刺激に、首にキツく抱き付いた。
変な声を出してしまわないように口を結ぶ。
こんな時だとしても、抱き付けて嬉しい。
良いにおいに汗のにおい。
それから、男のにおいが混ざってクラクラする。
タオルを被っていても分かる。
好き。
「っ!」
タオル越しに肩口に噛み付いた。
一言も告げず、勝手にしたことに驚き肩を跳ねさせたが、咎められることはない。
それどころか、顔を傾け頭をコツンとぶつけてくれた。
嬉しそうな空気にかわり照れてしまう。
けど、喜んでくれたのなら嬉しい。
粗方掻き出した後も、結腸のものがおりてくるまで少し待つ。
その間にもぐっと肩を噛んだ。
痕を残さない程度の力だが長岡は嬉しそう。
背中を擦る手からも、それが伝わってくる。
「腹減ったか?
後で、軽く飯でも食うか」
「ん……」
「眠い?」
「……少しだけ」
「電車で来たなら、送りながら寝させてやれたんだけどな…」
「平気です。
ちょっとだけですから」
見られていなくとも、へらっと笑う。
本当に少しだけだ。
天気の良い日に昼飯を食べた後みたいな、このまま昼寝をしたら気持ち良いだろうかなと思うあの瞬間くらいだ。
だけど、寝るならもう少しだけ長岡と一緒に話をしたい。
なんでも良いから。
くだらなくても良いから、直接顔を見ながら。
「なに食いてぇか考えとけ。
作ってやる」
「うどん、が良いです」
「かきたまか?」
「はい」
「わかった。
美味いの作ってやるから一緒に食おうな」
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