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第1500話
適当に味付けしただし汁に片栗粉を混ぜたたまごを溶き入れる。
ふわっと浮かんでくるのを待って火を止めた。
あまり熱くても食べられない。
隣の恋人が。
そちらをチラリとみると、お揃いのマグに茶葉のパックを利用してお茶を用意してくれている細い恋人。
身体がしんどいのだから座ってろと言ったのだが、それは駄目だときかないのでせめてお茶の準備を頼んだがお湯は触らせない。
パックをゆらゆらと揺らし適当な皿に置いた。
「え、なにか…?」
「いや。
もう盛るから先に座ってても良いぞ」
「手伝い、させてください」
まだ掠れた声でそう言われ、後頭部を撫でた。
「お茶は任せた」
「お任せください」
少しだけ渋そうな顔だが、それでも素直に頷いた。
あれだけ無理な事をさせておいて、食事の支度までさせられるほど鬼畜ではない。
それは流石に…流石に……だ。
なら、セックスを緩くなんて言う恋人でもないしな。
鍋から丼へとうどんを移し、冷凍庫から凍った葱を振りかけた。
今日はほうれん草が冷凍庫になかったのでせめてもの緑だ。
蒲鉾も買っておこう。
冷凍出来るかも調べておこう。
箸を取り出しながら、頭の隅に記録した。
「あっち行くぞ。
持てるか。
熱くねぇか」
「大丈夫ですよ。
あ、箸、俺が持ちます」
「悪い。
助かる」
気遣いが出来て優しい自慢の恋人と共に部屋へと戻る。
腰が痛んでいないか。
膝を折らないか後ろからしっかりと見守る。
飯を溢してでも転ばせない。
それくらいの気持ちでいるが、三条は無事にローテーブルへとマグを置いた。
長岡も両手の丼を机に置く。
ソファに寄り掛からせたいが、食事中にそんな体勢になるのは行儀が悪いと三条は断る。
勿論、そういう行儀の良いところも愛おしい。
けれど、あんな体位でしたのでなにかクッションを……もブランケットを畳ケツ側に高さを出しそこへと座らせた。
座れた事を褒めるように頭を撫で、そうして漸く手を合わせる。
「冷めねぇ内に食おうな。
いただきます」
「いただきます」
長岡はろくに冷ましもせず、三条はしっかりと冷ましてからうどんを啜る。
「美味しいです」
「そりゃ、嬉しいな。
今度は、ほうれん草も用意しとく。
また一緒に食ってくれ」
へにゃっとした笑顔は少しはにかんだ。
セックス終わりの色気を残しながらも、清潔な印象をうける。
表情がころころ変わって、見ていて楽しい。
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