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第20話 その答え※

賢司と過ごす1ヶ月は、楽しかったと思う。 楽しかった、けど、実は決定打がない。 俺は確かに賢司が好きだ。 でもそれが恋愛なのか?と聞かれると、即答できない自分がいる。友情と恋愛の違いって…なんだ? 明日が約束の期限だ。 それなのに俺はまだ決めかねていた。 「どうしたんだ、そんな難しい顔して」 「わ、つつくなよ」 眉間をぐにぐにと押され、抗議の声を上げる。すると、賢司は何が楽しいのかニコニコしながら「ごめんごめん」と指を離した。 「今日も可愛いな」 「そ…、そうかよ」 「なぁ、晴翔。…もう決めたか?」 「え」 あまりに気軽な問いかけにきょとん、としてしまった。賢司の表情は変わらない。 「決めたって…」 「俺とどうなりたいかの、答え」 「…、…ええと、それは」 「期限は明日だけど」 「わ、分かってる」 困ったように目線をさ迷わせると、髪の毛を柔らかく撫でられた。確かめるように、丁寧に丁寧に…目線すら優しい。 「そもそもさ、晴翔は俺のこと、どう思ってるんだ?」 「どう?どうって…」 目を閉じ、賢司との思い出をゆっくり振り返る。脳裏に浮かぶのは、楽しかった記憶ばかりだ。 「…昔から努力家で、αだってことをひけらかしたりしないし、優しいし、イケメンだし、よく気がつくし、すげぇなって思ってたんだよな。お前のこと好きな奴って結構いてさ、友だちながらに誇らしかったりとかして。でも、周りがどんなに賢司のこと好きでも、俺の方が賢司のこと知ってんだぞ、って妙な優越感もあった気がする」 そうだ、賢司の友だちでいられることは、俺にとって誇らしいものだった。"憧れ"でもあったし、一緒に居ると楽しくて仕方なかった。 「俺のこと、Ωだからって差別しないし、発情期のことをからかわれた時も守ってくれただろ?何ていい奴なんだ、って思った。高校も大学も一緒で、またそばに居られんだ、って思うと嬉しくてさぁ。賢司に恋人ができたり、将来結婚したりして俺との時間が減ったら嫌だな…とか考えたこともあったな。たぶん、ショックで寝込むと思う」 「はる、」 「あと、俺のことになると熱くなるのも最初は何でかなって思ってたけど、俺のこと好きだからなのかー…って分かったら、なんか、愛されてんなぁって思ったりとか。そりゃ最近は色々あったけど、どんなに頑張っても賢司のこと嫌いになれないんだよな。お前がしたことなら何でも最後は許しちゃう気がしてさ…すげー不思議」 話しながら楽しくなってきた俺は、なおも言い募ろうとすると、「…晴翔!」と呼ばれて口を閉じた。そしてそのまま、ムスッとした顔で賢司を見る。 「何だよ。まだ、」 …で、俺は、ものすごく珍しいものを目にすることになった。 「お、おま、なんで、そんな顔赤いんだよ」 賢司はまるで茹で蛸のように真っ赤になっていた。俺を凝視しながら固まっている。 「お、お前なぁ…っ!まさか、そんな熱烈なこと聞けると思わなくて、…くそ、見んなよ」 「…。」 そして恥ずかしそうに手で顔を隠し、目線を反らされた。とくん、と心臓が高鳴る。何だこれ。ぎゅ、と胸を押さえるように服を掴む。 今まで恋をしてきた相手を前にしたり、先輩とデートした時だって、こんな風に痛いくらい心臓が早鐘を打つことはなかった。 ああ、そうか、俺は… 「好きだ」 「…、え」 「賢司のこと、好きみたいだ」 考える間もなく、俺は自然とその言葉を口にしていた。 だって、本当にそう思った。心から、「好きだ」って思った。たぶん…ずっと昔から、俺は賢司のことが好きだった。得体の知れない気持ちは、…これだ。 「好きって…、どういう」 「賢司と同じ。…俺、お前のこと…たぶん、ずっと恋愛対象として好きだったんだ」 「…、俺の、好きは…」 ぐい、と引っ張られ、俺はソファーに寝転ぶことになった。そういえば前にもあったな、こういう状況。 「お前を組み敷いて、暴いて、体を繋げて…めちゃくちゃにしてやりたい、っていう"好き"だぞ」 「…」 たぶん、賢司は極端なことを言って俺を試そうとしてる。つまり、そこまで出来るのか?と問われてるわけで… 「いいよ」 「…!」 「言ったろ、お前がしたことなら何でも許すって。…つーか、むしろ」 手を伸ばし、賢司を引き寄せる。 ちゅ、と軽いリップ音が聞こえた。 驚いた顔の賢司を見て、してやったり、って感じだ。 「してほしい、かも」 そう告げると、賢司の瞳に熱がこもった、気がした。そのまま食らいつくように口付けられ、ぴくん、と体が震えたのが分かった。 何度も何度も、角度を変えて唇を重ね合わせ、その熱さと甘さに酔いしれる。下唇を食まれ、唇を舌で辿られ、息さえ取り込むように深く貪られる。 「…ん、…ぁ……けん、じ…、…」 「晴翔…とろけた顔、可愛いな…」 「ぁ、あ…、んん…ふぁ…っ」 舌を口内に招き入れ、おそるおそる絡めてみた。湿った音が耳に響いて恥ずかしくなる。前にも思ったけど、賢司の唾液は甘くて、頭がぼうっとしてくる。 そして目を開けて賢司の瞳を見た瞬間、どくりと心臓が大きく高鳴るのが分かった。 「…、え?!あ、…なん、今…っ」 よく知ってる感覚。 体が熱を持ち、視界がぼやけ、息が上がる。 目の前の存在に暴かれたいという、本能。 「…晴翔…晴翔の体も、俺のことを欲しがってくれてるんだな」 「ぁ、あ…ぅ…っ、からだ、あつ…っ、ど、どうし、…どうしよっ」 「ん…、大丈夫。俺がいるから」 ぎゅう、と抱きしめられ、賢司の香りを大きく吸い込む。この前とは違う、ホッとするようなあたたかさに安心した。 「…賢司。俺、のこと…お前のものに、して」 「晴翔…」 「賢司に…全部受け取って、ほしい」 にこ、と笑うと、賢司は反対に泣きそうな顔になった。それが愛しくて、額にそっと、唇を寄せた。 ** 「あ、ぁ…っ、けんじ、もう、いいからぁ…っ」 「ほぐさないと辛いのは、晴翔なんだぞ」 お互い、身に付けるものは何もない。 俺は何度も何度も吐精をしていて、身体中ぐにゃぐちゃになってると思う。たぶん、顔もだらしないものになっているんだろう。 「あ…っ」 「…。」 足を持ち上げられ、太ももに口付けられる。 ビリっとした甘い痛みにうち震える。 つつ、と後孔を指で辿られ、きゅう、と収縮するのが分かった。 …欲しい。 賢司で俺を、埋め尽くして欲しい。 「けんじ、はや、はやく…っ、もう、おれ、がまんできな…っ!」 「あんまり可愛いこと、言ったら…止められなくなる」 「いい、止めなくて、…んっ、いい、からぁ…っ」 泣きじゃくりながら訴えると、ひたり、と後ろに熱を帯びた昂りが宛がわれた。 「ひっ、あ、ぁあ…っ!」 「苦しかったら、ごめん…、あとで、殴っていいから」 「っ、あ、ぁあ!あ、あっ、ん…っ、激し…!!」 チカチカと目の前を星が散る。 後孔を埋め尽くすように、少しずつ少しずつ拡げられていく感覚に、背筋がぞわぞわとする。 シーツをぎゅ、と握ると、賢司に手をとられた。そのまま背中に導かれ、激しい動きとは裏腹に、「…こっち」と優しく囁かれる。 きゅう、と後孔が締まるのが分かって恥ずかしくなってしまった。 ぐり、といいところを擦られ、何度目か分からない射精をする。思考はもうぐちゃぐちゃ。突き上げられるたびに、薄い精を吐き出し続けてる状態だ。 「んっ、…ん、ぁ、…え?…あ…なんで抜い…っ」 「…」 くる、とひっくり返され、うつ伏せにさせられる。不思議に思って仰ぎ見ると、息を荒げた賢司が目に入った。 「けん、」 「…晴翔を俺のものにして…いいか?」 「…っ」 ゆっくり覆い被さってきた賢司は、柔く首筋に口づけを落とした。その刺激に、びくりと体が跳ねる。 「…いい、よ…俺の全部、あげる」 そっと目を閉じる。 恐怖とかそういうものは、全然なかった。 「…晴翔、好きだよ」 直後、身体中に電気が通ったかのような衝撃に襲われた。うなじが焼けるように熱い。涙はぽろぽろと流れ落ちたけど、ものすごく、満たされた感じがした。 「賢司…、俺も、すき…、…お前のことが、好きだ」 ぽた、と頬に水が落ちる。 それは汗なのか、賢司の涙なのか… 分からないまま、また俺たちは深く口づけ合った。

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