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第3話電子AI『シズク』

「電子AIですか……で、ソイツはどんな見た目なんですか?」知聖が問う。仙人は「そやつに実体はない」と答えた。 「実体がねぇってことは、わかんねぇってことでもあるだろ?だったらどう殺しゃあいいんだ?」力人も尋ねる。 「実はAIには核があるんじゃ」 「核……ですか?どういったものなんです?」と俺も尋ねる。恐らく二人もそう考えているだろう。 「電子AI、通称シズクと呼ばれておる。ソイツはな、表向きは社会の発展に役立っておるが、裏ではとんでもない計画を考えておるのじゃ。」 仙人は続ける。「その計画とは人類を滅亡させ、機械の世界を作るというものじゃ。本来なら、本体を倒すだけですんでおったのじゃが、わしがシズクの計画を知ったと勘づかれてしもうてな、やつは自らのデータを七つのチップに分け、世界に隠した。それら全てを破壊しなければ己が倒されることがないように。さらに、データチップのあるところにはそれを守る番人がおる。いずれも一筋縄でいかん相手じゃ。そして、データチップをひとつでも破壊すれば、情報がやつに伝わり、 やつのしもべも動き出すであろう。」と言って口を閉じた。 「チップを壊すとて敵にしられる、か。となると、近くを狙うと相手の手にかかりやすくなるな。」近くで知聖が何やらぶつぶつ言っているので、代わりに質問してみる。 「チップはどういう形なんですか?」これはもっとも大切なことだろう。チップがどんなものかわからないと探しようがない。 「それがな、ワシにもよくわからんのじゃ」仙人は悔しげに言った。 「ひとつだけ、あくまでこれは予想でしかないのじゃが……」 「予想でもなんでもいーからよ、とりあえず言ってくれよ。」役に立たないことはないだろ?と力人が言う。 「うむ。恐らくやつは七つのうちの6つを世界中に散らしておる。」なんで?と聞くと仙人はまぁ、聞けといって話を続ける。 「ひとつの場所に固めておくと、仮にそれが小さな生き物としよう。それがダメになったら全てのチップが機能を失い、やつは消失してしまう。それを避けるために、やつは自らの命と言うべきチップを世界へ散らしたのじゃ。それに、自らの分身が世界中にあれば、余計に人を動かしやすいのじゃろう。こういう利点からやつはチップを世界に散らしたのじゃ。それら6つをお主達に破壊してもらいたい。」どうか頼むそう言って仙人は頭を下げた。 「ということみたいだけど、どうする?」力人と知聖に向き直って返事を待つ。 「そりぁ、やるしかねぇだろ?俺たちの世界だもんな?」 「あぁ、そのために僕たちが呼ばれたんだろう?なら、僕らにできることならなんだってするさ。」力人と知聖は二つ返事でOKしてくれた。 こうして俺たちの冒険が幕を開けた

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