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永遠に…epilogue(1)
二人は、深い森の中にあったキャンプ跡地に住まいを作り、初めての夜に身ごもったアンジュは、そこで無事に子供を産んだ。
最初の子供は、イアンのような白い獣毛を持って生まれた。混血のウェアウルフと人間のΩの間にも、白い獣毛の血統は受け継がれたのだ。
それからも、アンジュはあと二人子供を産み、幸せな家庭を築いていた。
昔はキャンプ場があった場所も、今は誰も近寄らない。
冬は深い雪に覆われるが、春になるとネモフィラの花が咲く花畑もある。
畑を耕し、野菜を作り、子供を育て、そして二人は年を重ねた。
だけど、ウェアウルフと番ったΩは、短命だという宿命がある。
イアンの母親も、アンバーの母親もそうだったように、アンジュもまた自分の命が普通よりも短いという事は承知していた。
54歳でその生涯を終える時、「それでも俺は長生きした方だろ?」と微笑んだ。
人間のΩに比べ、ウェアウルフの平均寿命は100歳と長い。
アンジュを見送ってから、アンバーは長い時を一人で暮らしていた。
成人してそれぞれ家族を持ち、森を出ていった子供達も、それからイアンも、時々遊びにやってくる。
一緒に暮らさないかと言われるけれど、アンジュの眠るこの森から離れる気は全くなかった。
──そして、今年もまた、もうすぐ春がくる……。
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