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最初は我慢してた声も、あんまり抑えなくなって。オレに抱かれるってことを、されると気持ちいいってことを、受け入れてくれるようになって。
いつも戸惑って瞳を揺らしながら、恥ずかしいこととか、ちょっと怖いことにも、応えてくれるようになった。
そういう小さな変化に、オレがいちいち泣きそうに嬉しかったなんて、たぶん海老沢は気づいちゃいないんだけど。
知らなくてもいいんだ、そんなこと。
同じ熱量の圧迫を感じながら、敏感なところが擦れて、一緒に気持ちいいと思える。
欲を言えば、こんな薄いラテックス越しじゃなく、直接海老沢を感じられたらって思うけど、それはDomとSub にとって、別の意味を含んでしまうことだから。
今はほんと、この状況だけで、充分すぎるほどに幸せだった。
「は、あ…… っ、は、はぅ、ん…… っ」
腰の動きに合わせて甘い吐息を漏らす海老沢が、潤んだ目をうっとり細めてオレを見てる。触られてない乳首が寂しそうで、オレは上半身を倒して赤い蕾に口唇をつけた。
「あぁ…… っん…… っ!」
大きく一声啼いて、白い身体が跳ねる。さっき舐めまわしたときの熱は一旦引いてたはずなのに、愛されることを覚えた貪欲な性感帯はすぐにツンと勃ち上がった。反対の乳首も指で可愛がると、中で繋がっているらしい海老沢のちんこが、透明な汁を飛ばしながら勝手に跳ねた。
天井を向いて震えてるそれを、抽挿にあわせて腹筋でこする。さっき垂らしたローションが、ニチニチとエロい音を立てた。
「あ…… っ、あぁ、ん、あぁ…… っ」
肩に乗せて高く上げた海老沢の脚が、腰の痙攣に合わせてビクビク動く。見えないけど、たぶん足指の先までぎゅっと丸めて、緊張してる。
あ、海老沢もうすぐイきそうかなって、思ったら。
「やああぁぁん…… っ!」
すごい可愛い声で啼きながら、海老沢の中がものすごい締まった。一番奥まで挿入ってたオレのはめちゃくちゃに絞られて、慌てて引いたらそれがまた痺れるくらいの刺激で頭ん中が吹っ飛んだ。
「ん…… 、は…… っ」
あ、ヤバッ!て思った時には、もう手遅れで。
オレのは海老沢の中で、盛大に痙攣して放出した。
「あ、え…… ?」
海老沢がびっくりした顔で、オレの顔を見てる。
息は乱れてるけど、海老沢はまだ射精 してはいない。もうちょっとのところで、気持ちよく登りつめてるところで、オレの方が先にイッてしまった。
最悪だ……
むちゃくちゃ恥ずかしくて、消えていなくなりたい……
堪えきれなかった不甲斐なさに、オレは顔があげられなかった。
仕方なく、海老沢のあったかい中から抜く。ゴムの先に溜まった重みは、オレだけが先にイッちまった動かぬ証拠だ。オレはそれをティッシュに包んで、黙ってゴミ箱に投げた。
深いため息が出た。
かっこ悪すぎんだろ、オレ……
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