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「あ…… ひ、久しぶりだったから、な?でも、珍しいな。おまえが先に、とか…… 」
置いてかれた海老沢が、気を遣ってそう言ってくれる。
珍しくなんかねぇよ。人の苦労も知らねぇで。
オレは仰向けの海老沢の隣に、ごろんと横になった。
「…… 別に。」
この状況でふて腐れるのは我ながら子どもっぽいと思うけど、がっついていつもの手順を踏まなかった10分前の自分がホントに悔やまれる。
「あ、俺、さ。階下 から飲み物とってくるよ。さっきマックで飲んだから要らねぇかと思ったけど、やっぱ、喉乾くよな。いつもおまえがサクッと用意してくれるから、なんか当たり前みたいになっちゃって…… 」
「ダメ。も一回、ちゃんとしてから。」
身体を起こそうとした海老沢を、後ろからギュッと抱きしめた。海老沢が服を着たら、今日はもう続きができないだろう。そんなのはヤダ。別にオレは、海老沢だって、ホントに喉が渇いてるわけじゃない。
オレがいつも飲み物とか身体拭く湯とか用意しに行くのは、ホントは別の目的があって。
カッコ悪いから絶対言わないけど、その隙にトイレで一回抜いてるんだ。オレだって普通にやりたい盛りの高校生だし、そうでもしなきゃ、あんな尻の中でそんなに保つはずないだろ。
「すぐ復活するから、このまま待って。」
「すぐってーー 」
まだ何か言いたそうだった海老沢は、乳首をつまんだらビクッとして、オレの腕枕でおとなしく横になった。
「海老沢さぁ、すっかりチクビスキーだな。」
「…… ロシア人みたいに言うな。」
「ロシア人て。」
「てゆうか、おまえ、さっきすげえ早かったよな。いつも人のこと、早漏だとか馬鹿にするくせに、な?」
報復のつもりか、そうやって蒸し返す。オレは海老沢の後頭部に鼻を埋めて、またちょっと勃ってきたのを柔らかい尻の割れ目に擦りつけた。
「お前、も少し自覚しろよ。こんな殺人的な尻しといて。」
「…… 死ぬな。」
「死ぬよ。即死だろ普通。こんなさぁ、柔らかくてぷりっとしてて、孔はピンクだし、入り口キツいのに中あんなうねうねしてーー 」
尻に押しつけてる腰に、海老沢の肘が飛んできた。
「やめろ、俺の方が恥ずか死ぬわ。」
海老沢の耳が赤い。褒めちぎった尻がもじもじして、その摩擦でオレはいよいよ完全復活を果たした。
「ワガハイ、殺す気 ナリヨ。」
裏声で戦線布告。コンドームを取るために身体を離すと、
「おまえホント、残念すぎる。」
仰向けになった海老沢が、呆れ顔で笑った。
「だから、イケメンまで言えって。」
オレは歯で袋を破りながら、ここからが本領発揮だからなって、渾身のウィンクをした。
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