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第5話
ミーシェに、私がセックスをしてる事がバレてしまった。
なんで……分かったんだろう。
あいつはαだから、フェロモンの変化が分かるんだろうか。
こんな私を心配してくれているのに、関係ないだなんて言ってしまった。
恥ずかしくて、怖くて。
ミーシェに見限られるのが、私にとって1番の恐怖だ。
知られなければ、ずっと仲のいい友達でいられるのに。
「……私は、お前の側を離れるべきではなかったか?」
「離れないでって言っても、貴方は行ったでしょう?」
もし一緒にいてくれたら……いや、そんな仮定をしても意味がない。
それに、ミーシェはきっと、今の生活を楽しんでいる。
悔しいけど……私といた時より。
私は曲がりなりにも王子だ。
権力を使えば、ミーシェを呼び戻して閉じ込めることなんて、簡単にできた。
そうしなかったのは、ミーシェが大事だから。
今も、ミーシェの仕事を尊重したいと思ってる。
でも、今にも私の口は一緒にいてと発してしまいそうだ。
ミーシェを大事だとか言いながら、私は結局自分の事しか考えられない。
そんなあさましい自分を隠すように、そっとミーシェから距離を取った。
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