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第6話
「ねぇ、ミーシェのために、茶葉を取り寄せたんだよ。レモンに合うやつ。……好きだったよね?」
「あ、ああ。それより」
「それなら、早く私の部屋に行こう」
何か言いたげなミーシェを遮って、歩き出す。
ミーシェは渋々といったように、黙ってついてきた。
部屋につくと、直ぐに紅茶の準備を始めた。
普通は使用人に頼むものだけど、私は紅茶をいれるのが好きだ。
上手にいれられると、ふわっと香りがたって嬉しくなる。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。……子供っぽい悪戯はやめたんだな」
「昔のこと、持ち出さないでよね」
「なぁ、チョコ食いたい」
「あ、そう」
「どうせ、持ってるんだろ?」
「ちょっとは遠慮してよね。私に命令するのなんてミーシェ位なんだけど」
文句を言いながら、銀紙に包まれたチョコを取り出して、投げつける。
すると、速度を増したそれが、こっちに返ってきた。
ばしっと顔に当たったチョコを手に持って、ミーシェと顔を見合わせる。
「ふふ、」
「ふっ、はは、」
「もう!痛いじゃん!」
「子供なのは変わってなかったな」
「ミーシェにだけは言われたくない!」
再開してから、やっと昔みたいに笑えた。
ミーシェとは……こうやって笑えるだけでいいんだ。
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