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第10話

『──ねぇ、皐月くん。君は本当に僕と番になりたいの?』  どうしてそんな意地の悪い質問をこの男はするのだろう、と皐月は唇を噛む。 「……うん」 『それは、なんで?』 「──なんでって……、好きだから……。それに、詠月さんもそう言ってくれたから……だから……」 『じゃあ僕が嫌だと言ったら、君は諦めるの?』  皐月はただ動揺し、困惑することしかできなかった。  詠月は一体何を言いたいのか、何を言っているのかがわからない。耳元で甘く囁いたのは確かにこの男なのに……まるで、あれが全部夢だったみたいに……。 「──いや、なんですか……?」  やっぱり自分は間違えたのだと、皐月は声を震わせた。  自分がαを好きになっても、αは自分を好きにはならない。  母の時のようにただ本能でだけ求められて、自分もそれにただ従うだけのΩに成り下がるのだ。  ただ、次の命を繋ぐためだけに……。 ──ここには恋も愛も何もない。  そんなものフィクション漫画の世界だけなんだ、と皐月は唇を噛んだ。

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